事例・インタビュー

PC鋼材破断に対する漏洩磁束法での検査がマニュアル化されています

株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング

保全点検業務を通じて、社会経済活動の基盤である高速道路の「安全・安心・快適・便利」を支えることを使命とし、高速道路のホームドクターとして、24時間365日、培った経験と高度な技術で"高速道路の健康"を守り続ける。

■設立

1984年

■事業内容

東日本高速道路株式会社管轄のインフラの道路保全管理や道路設備工事構造物非破壊検査・診断等

高速道路のホームドクターとしてインフラの健康を守ります

高速道路という国の根幹となるインフラの維持管理を担うネクスコ東日本グループの一員として、(株)ネクスコ東日本エンジニアリングでは主に道路構造物の点検管理・調査設計・施工管理などの業務を行っています。今回は高速道路のホームドクターである(株) ネクスコ東日本エンジニアリングの土木事業本部 土木調査設計部 構造技術課 北ノ園 久光様にお話を伺いました。

従来からの漏洩磁束法にも課題はありSenrigaNも試してみることに。

› SenrigaNを使ってみたきっかけはなんですか?

NEXCOの調査要領に、内部PC鋼材の破断検査手法として漏洩磁束法があり、私としては今後のニーズを考え、漏洩磁束法に関する研修を受け、検討はしていました。ただし、なかなか課題も多く、他の方法も並行して探していました。コニカミノルタさんがERFロボットフォーラムで登壇されたのをきっかけに、新しい技術としてSenrigaNを紹介してもらいました。そんなとき、アルカリ骨材反応による鉄筋破断の可能性がある橋梁が見つかりました。アルカリ骨材反応のある橋では骨材が水に触れて膨張し、場合によっては弱点となる鉄筋の曲げ加工部を破断させてしまう恐れがあり、状態を調査するため試してみることにしました。

内部PC鋼材の塩害影響は密かに進行し、気付いたときには深刻な事態ということも。そうならないために内部PC鋼材の非破壊検査が大事。

› 以前から漏洩磁束法に着目をされていたそうですが、どういう経緯で着目するようになったのですか?

PC橋における、PC定着部は桁端部や特に古いPC橋では路面の舗装の下に定着部があったりして、塩害影響を受けやすいです。さらにグラウトが入っていなければ塩水は容易にシース内に浸入し、あっという間に鋼材腐食は進行します。こういった変状は外観的に進行過程が見えないことが多いため、わずかなサインを見逃さず、早期の調査に踏み切ることが大事だと思っています。
そのため、PC 橋の健全度を把握する手法について強い興味がありましたので、様々調べて検討をしました。その中でNEXCOではPC鋼材の破断の有無を調査する方法として、従来の調査手法に加え、“漏洩磁束法”が調査要領に掲載されたので、これについて着目するようになりました。

› SenrigaNを使ってみていかがでしたか?

前回の利用時には、検査の結果破断がないことが確認できました。既存の漏洩磁束法との比較になりますが磁石がコンパクトで実用性がよくなっていると思います。それに対応するためにセンサーのレベルを破断信号が見やすいように調整されているようです。実際の現場では2日を予定していたのですが、1日で検査を終え、その場で検査結果をチェックし、信号から破断がないことが確認できたので、予定を短縮することができました。作業が早く効率の良さを感じました。希望が持てる技術だと思います。

以前は微破壊検査、最近は非破壊検査にシフトしています。

› 他の手段を試してみましたか?

X線は相当な機材を持ち込まなければならないので、現地で使えることはあまりないと思っています。現場で動かす非破壊検査は既存の漏洩磁束法くらいです。あとはピンポイントで穴をあけファイバースコープで見ることですが、検査できる部分が少なすぎて変状等を発見する確率が低すぎます。最近は、可能な場合は非破壊で検査するようになってきていると感じます。

› 新技術の取り入れはどのようにされていますか?

新技術の取り入れは社として活発に行っています。特に点検調査困難な部位に対する状態を確認できる非破壊検査手法については、常に情報収集しています。

› 非破壊の内部鋼材破断検査に期待することはなんですか?

PC橋は数多くあり、無数にある内部PC鋼材の健全度把握は非破壊検査でなければ、広く、早く行うことはできないと思っています。しかし内部PC鋼材は密な鉄筋に覆われ、かぶりが深いところにあり、また種別も数種、太いものから細いものまであり、計測が難しい点が残っていますが、少しでもそういったハードルを取り除いて健全度を把握しやすい方法があればいいなと思っています。PC鋼より線の部分破断や、部分腐食による断面欠損までわかるということなしです。変状初期の段階で発見できるといいと思います。期待しています。

› 今後の展望を教えてください。

PC橋における内部PC鋼材の健全度を把握するニーズが高まっていると思います。機会があれば、また御社のSenrigaNを使いたいと思います。

› ありがとうございました。